IT契約超入門: 絶対に不利にしてはならない 広川智理の「超入門」シリーズ

読んだきっかけ

契約書について考えることがあったので、「IT契約超入門: 絶対に不利にしてはならない 広川智理の「超入門」シリーズ」を読みました。Kindle版でのみ販売、比較的短い書籍ですので、読みやすいです。

期待した内容と実際

発注側の立場から見た、契約に関する注意が書いてあります。なお、この本では、請負契約(業務委託)、準委任契約といった基礎知識は前提とされているようです。

発注側が不利になりやすい理由

発注側と比べると受注側のほうがITやソフトウェアに関する知識・技術・契約経験などが豊富です。このため、発注側はよほどしっかりしていないと、受注側有利な契約になってしまいがち、と書かれていました。

また、時間的な制約も書かれていました。発注先ベンダーを決めてから契約書をつめると、十分に吟味する時間がとれず、その結果、発注側が不利な条件になってしまいうやすい、と。

また、経済産業省が公表した情報システムモデル取引契約書が、6対4で受注側有利だと書かれています。なお書籍は、2007年4月13日に公表されたものについて書かれていますので、将来変更される可能性はあります。

予想外の収穫

損害賠償規定について

一般的なソフトウェア開発では、「賠償上限金額を設定する」契約が多いと思います。この点について、著者は異論を唱えています。ソフトウェアから離れた場合の話ですが、「自動車に設計上の欠陥があって事故が起きたとき、賠償額が自動車の購入代金で限定される」のが好ましいかどうか、という問いかけがなされていました。

著者は「賠償上限金額を設定する」は発注側にかなり不利という主張です。たしかにその通りかもしれません。そして著者は、「賠償上限金額を設定しないほうが、ソフトウェアの品質を高められる」という意見も出しています。

一方で、賠償上限金額を設定しないのであれば、ソフトウェア開発工数が増えることも、発注側は理解しなければなりません。賠償上限金額を設定しないのであれば、たとえば動作テストについても、無理な使い方までも事前に検証しておかなければ、受注側は納品しにくくなります。その点に関する記載が無かったようなので、この点は注意書きがほしいところです。

発注側での改修

受注側の倒産等で保守できなくなった場合に、発注側で改修できなかったら困りますよね。(受注者が保守してくれるほうが、自社でメンテナンスするよりも安上がりな可能性はありますが。)

著作権法47の3によると、著作権を譲渡されていなくても、ユーザー側でプログラム改修が可能だそうです。

ただし問題点として、仕様書はプログラムには含まれないのではないか、という点、また機能追加がどこまで認められるか不透明、という点があるようです。

読んだ後の行動

契約書を読む際には、自分の側だけでなく、相手側から見てどうか、という視点でも読むようにします。

書評記事著者: 水野史土

  • 食品通販サイト運営代行
  • BMI22エンジニア

主な著書

  • WordPressユーザーのためのPHP入門 はじめから、ていねいに。
  • 徹底攻略 PHP5技術者認定[上級]試験問題集
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