残念な警察官~内部の視点で読み解く組織の失敗学~

読んだきっかけ

元警察の方が書いたということで、「残念な警察官~内部の視点で読み解く組織の失敗学~」(古野まほろ著)を読みました。著者はミステリー作家でもあります。

期待した内容と実際

元警察官だから語れる、内部事情

警察に限った話ではないと思いますが、組織の内部事情について外からは分かりにくいと思われます。警察官は公務員なので、失敗しなければ解雇されないとは思われます。しかし、点数を稼がないと昇進・出世は難しくなるそうです。

そうすると、どうしても、点数になりやすい業務は力を入れる、点数になりにくい業務は後回しになる、ということが起こりえます。これは警察だからではなく、どの組織であっても、人間が働く限りはそうなりそうです。

例としては、警察官による巡回・家庭訪問があげられます。一年に一回ぐらいの訪問が望ましいらしいですが、実際にはもっと頻度が少ないようです。新潟事件のときでは、9年で3回、とされていました。「そのうちの1回は、きちんと面談していないかもしれない」という著者の意見が述べられています。

家庭訪問をしっかりすることで犯罪を未然に防げることもあるのでしょうけど、一年に一回訪問するのは実際には難しいようです。私の経験でも、警察官による訪問は、数年に一回ぐらいな印象です。市民としては、訪問があったら、なるべく協力的に応じる、というのが治安維持向上には良さそうですね。

予想外の収穫

腐ったみかん

腐ったみかんと果樹園のたとえが興味深かったです。不祥事が起きたとき、それが警察官個人の資質によるものであれば「腐ったみかん」である、一方、警察が組織として不祥事を起こしたのであれば「腐った果樹園」、という評価です。もちろん、みかんも果樹園も健全であるのが好ましいです。しかし、そうでなかった場合に、きちんと検証することは重要でしょう。そのときの視点として、個人/組織、という考え方、また分かりやすく比喩的に説明していました。不祥事に限らず、振り返りを行うとき、この観点は役立つ気がします。

現場の裁量

通報などで警察官が呼び出されたとき、現場の警官の判断で処理しきれない(上層部の判断を仰がないといけない)ケースも結構あるようです。そうすると、一般市民の側からすると、「警察は動いてくれない」というような不満の声が上がる一因にもなるかもしれません。

もちろん、現場の警察官が突っ走ることが危険になる可能性もあるので(たとえば人質のいる強盗事件だったらどうするか?など)、何がしかの歯止めがあるのは致し方ない部分もあると思われます。こういった警察の事情を、あらかじめ市民にも周知しておく、理解してもらえるようにする、といった活動も大事なのかもしれません。

読んだ後の行動

組織内の評価が、外から見える行動に影響するのだな、ということがわかりました。であれば、社内の人事評価を工夫することは業績向上に大きく寄与しそうです。少し前のブレイクスルー交流会でも人事評価の話が出ましたし、今後、会社を大きくするためにも、きちんとした評価の仕組みを構築していきます。

書評記事著者: 水野史土

  • 食品通販サイト運営代行
  • BMI22エンジニア

主な著書

  • WordPressユーザーのためのPHP入門 はじめから、ていねいに。[第2版]
  • 徹底攻略 PHP5技術者認定[上級]試験問題集
関連する読書記録
食品偽装、有機農法、遺伝子組み換えなど、食を考える